鳥山明とブロリー:伝説のサイヤ人が生まれるまで
はじめに:ブロリーというキャラクターの魅力
『ドラゴンボール』シリーズに登場する「ブロリー」は、圧倒的な強さと独自の背景ストーリーを持つキャラクターで、ファンから絶大な支持を得ています。もともとは劇場版『ドラゴンボールZ』のオリジナルキャラクターとして誕生したブロリーですが、2018年公開の映画『ドラゴンボール超 ブロリー』では、鳥山明先生自身がキャラクターを再構築し、新たな物語を紡ぎ出しました。
この記事では、鳥山明先生がどのようにブロリーというキャラクターを捉え、再構築したのか、そしてその魅力や人気の理由について詳しく掘り下げていきます。
1. ブロリーの初登場:劇場版『ドラゴンボールZ』
1.1. 初登場時のブロリー
ブロリーは、劇場版『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』(1993年)で初めて登場しました。この作品は、当時の東映アニメーションによるオリジナルストーリーであり、鳥山明先生が直接的に関与していない中で制作されました。
- 初代ブロリーの特徴:
生まれながらに伝説のスーパーサイヤ人としての潜在能力を持ち、異常なまでの戦闘力を発揮します。幼少期の悟空の泣き声にトラウマを抱えているというユニークな設定が付け加えられました。 - キャラクターデザイン:
ブロリーの筋骨隆々とした体型や長髪は、サイヤ人の特徴を大幅に誇張したデザインで、観客に強烈なインパクトを与えました。
1.2. 当時の人気
劇場版でのブロリーの登場はファンの間で大きな話題となり、以降の劇場版作品でも「ブロリー」という名前は登場し続けます。その圧倒的なパワーと狂気に満ちた性格は、当時の『ドラゴンボール』ファンの記憶に深く刻まれました。
2. 鳥山明によるブロリーの再構築:『ドラゴンボール超 ブロリー』
2.1. 再登場の背景
2018年公開の『ドラゴンボール超 ブロリー』では、鳥山明先生が脚本とキャラクター設定を担当しました。これにより、ブロリーは新たな視点で再構築され、物語の中核を担う存在として描かれることになりました。
- 鳥山明先生のコメント:
公式コメントの中で鳥山明先生は、「ブロリーが昔から非常に人気のあるキャラクターであり、新しい形で描きたいと思った」と語っています。これが新作映画のきっかけになったとされています。
2.2. 新しいブロリーの設定
鳥山明先生によるブロリーは、従来の劇場版とは大きく異なるキャラクターとして描かれました。
- バックストーリーの拡充:
新しいブロリーは、父親であるパラガスとの関係や過酷な幼少時代が詳細に描かれ、より感情移入しやすいキャラクターになっています。 - 戦闘力の描写:
ブロリーの圧倒的な強さはそのままに、成長と怒りによって制御不能になる姿が物語のクライマックスを盛り上げます。 - 性格の変化:
オリジナル版と異なり、新ブロリーは純粋で無垢な性格が強調されており、悲劇性を帯びたヒーロー的な側面が加えられています。
3. ブロリーのデザインと鳥山明のアプローチ
3.1. デザインのポイント
鳥山明先生による再デザインでは、従来のブロリーの特徴を活かしつつも、より洗練された形に進化させています。
- 筋骨隆々の体型:
鳥山明先生は、ブロリーの筋肉の描写にこだわりを見せ、ただの大柄なキャラクターではなく、動きの速さや力強さを感じさせるデザインに仕上げました。 - 瞳と表情:
戦闘時には凶暴な表情を見せつつも、日常のシーンでは柔らかい表情が描かれ、キャラクターの多面性を引き立てています。
3.2. 色彩の特徴
『ドラゴンボール超 ブロリー』では、ブロリーのスーパーサイヤ人化した姿に新しい色彩が与えられました。髪の緑がかった金色は、伝説のスーパーサイヤ人の特異性を象徴しています。
4. ブロリーの人気と文化的影響
4.1. 世界的な人気
ブロリーは、『ドラゴンボール』シリーズの中でも特に高い人気を誇るキャラクターであり、映画公開後にはさらに注目を集めました。
- 映画の興行成績:
『ドラゴンボール超 ブロリー』は、全世界で興行的に大成功を収め、『ドラゴンボール』シリーズの新たなファン層を獲得しました。 - 関連商品:
フィギュアやゲームでの登場はもちろん、ブロリーをテーマにしたコスプレやアート作品も多く見られ、ファン文化を豊かにしています。
4.2. 鳥山明作品全体への影響
ブロリーの再構築は、『ドラゴンボール』シリーズ全体の深みを増し、鳥山明先生のストーリーテリングの幅広さを証明しました。
まとめ:鳥山明が再構築したブロリーの未来
鳥山明先生による再構築で、ブロリーは単なる強敵から、悲劇的で人間味あふれるキャラクターへと進化しました。彼の魅力は、ファンの心をつかむだけでなく、『ドラゴンボール』シリーズの新たな可能性を示しています。
これからの『ドラゴンボール』において、ブロリーがどのような形で物語に関与するのか、また鳥山明先生がどのような新たな展開を描くのか、ファンの期待はますます高まるばかりです。